今年のよさこい祭りも天候不順にたたられました。南からの湿った風が四国山地にあたって雲を形成、時折激しい大雨になるという具合です。自動車で走っていても前が見えないほど降ることもありました。そんな中でも踊り子の皆さんは各競演場・演舞場で踊られたわけですから、本当にお疲れさまです。
さて、今年のよさこい祭りは49回目です。来年は記念すべき50回を迎えます。それを前に次の半世紀への挑戦というカラーを出したチームもありました。第1回から出場を続けている「帯屋町筋」は昨年とはがらっと変わりました。新鮮な印象を受けます。 また、新しい風も確実によさこい祭りに吹き込んでいます。常に新鮮な雰囲気と伝統の良さを両立させているよさこい祭りの魅力は今後も続きます。
8月9日、前夜祭では昨年受賞したチームが登場して、いよいよよさこい祭りが始まりました。各チームが連続したテーマを決めてよさこい祭りに出場する傾向がここ数年顕著になってきて、チームが入れ替わる度に会場の雰囲気が変わります。昨年の受賞チームが中心だけに昨年の記憶を呼び起こしつつ『今年はどうなったかな』という楽しみもあります。そんな中で、「なんぼゆうたちユニオンジャック」は面白かった。実は前夜祭には参加希望チームの中から抽選で出場できる枠があるのですが、このチームもその枠で出場です。熱唱演歌を披露というのは意外でもあり、またよさこい祭りのテーストの一つとして馴染んでいるようでもあり、という感じです。 「京町・新京橋“ゑびすしばてん連”」は《商売繁盛シリーズ》が楽しみなチーム。今年は「商売繁盛ますます繁盛」です。軽快な音楽も耳に心地よく響きます。「安芸本町商店街 東陣チーム」はよさこい祭りの高知県全域への拡がりを語る上で欠かせないチームです。もともと高知市の商工会が始めた祭りですので、高知市内で結成されたチームが多いのですが、近年のよさこい祭りの浸透を背景に県内各地の市町村や四国4県からの参加も注目に値します。「SONIA」や「山田太鼓」もその代表格ですが、東陣は何度も受賞している実力派です。「四国開発グループ」のダイナミックな振り付けは観衆を魅了します。今年10回目の出場ですが、よさこい祭りへの参加は『今年が最後』だそうです。何とも残念な話です。でも、来年の50回を迎えてまた別の形で復活することを期待しています。 「セントラルグループよさこい踊り子隊」は自信に満ちた踊りで観衆をうならせます。前夜祭で見事グランプリを獲得しました。
前夜祭に出場したどのチームのレベルも高く、やはり流石です。よさこい祭り第1回から出場している「帯屋町筋」から今年2回目の出場の「本丁筋」まで、どのチームもそれぞれのテーストを掲げて参加されていて、見る者を飽きさせません。
8月10日、11日の両日は時折激しく降る雨の中での開催になりました。祭り本番という事で、157チーム・17,400人が市内各地の競演場・演舞場をまわります。追手筋や上町の競演場付近では出番を待つチームの地方車と踊り子の皆さんで溢れていました。また、移動していても時折遠くからよさこい祭りの“爆音”が聞こえてきます。『あぁ、祭りが始まったなぁ』と実感するのはこういう時です。
私はまず今年新しくできた秦演舞場に向かいました。郊外型の大型ショッピングセンター・イオンが高知市の北部にできて、イオンの全面協力で設置されています。もちろん私は始めて行ったのですが、確かに巨大です。この建物の周りの道路を使って踊りが繰り広げられていました。新郊の街の演舞場の今後の発展に期待したいと思います。
秦演舞場を後にして追手筋に向かいましたが、その途中で豪雨。ワイパーを最大にしても前が良く見えません。後から聞いた話ではこんな中でも踊りは続けられたそうですから、いやはや本当にお疲れさまです。追手筋に到着した頃には激しい雨は止みましたが、それでも時折降る雨の中での競演になりました。「逢au by KDDIスリーエスカンパニーグループ」は初出場ですが、非常に完成度の高いチームです。振り付けの中でシャボン玉を飛ばすのもアクセントになっていました。(因みに、私の携帯電話のバッテリーが切れてしまった時も帯屋町のauショップで充電してもらいました。ありがとうございました)
「株式会社四国銀行」には今年も島崎和歌子さんが参加しました。追手筋の沿道の皆さんに手を振っていました。私が最も注目したのは「宇宙旅行社」です。振り付けといい音楽といい、非常に新鮮に感じました。今後の50年のよさこい祭りの一つの道しるべになるかも知れません。「ネットでよさこい」は昨年インパク(インターネット博覧会)の開催に合わせてインターネットで結成されたチームですが、継承団体が決まって今年以降も継続される事になりました。ある意味ぶっつけ本番的なところもありますが、息が合っていたと思います。「愛組氣炎一座」(あぐみきえんいちざ)は愛宕商店街のチームです。市内には競演場・演舞場を提供する商店街が14ありますが(追手筋本部競演場はよさこい祭振興会“直轄”なので)、チームを持っている商店街は意外と少ないのです。そんな中で文字どおり気炎をはいていました。「高知信用金庫」は私も毎年楽しみに見ています。和風のチームで1つ挙げろと言われたらこのチームを推したくなります。
駆け足でチームをピックアップして書いてきましたが、157チームもあると当然全部書ききれません。よさこい祭りの魅力の一つは157のチームそれぞれが違ったコンセプトで参加していて、そのバリエーションを楽しめることにあります。これは単なる参加チーム数や参加者数では計りきれない高知のよさこい祭りの大きな財産だと思います。
よさこい祭り本番があっという間に終わって、最終日全国大会・後夜祭になりました。今年は「ほにや」がよさこい大賞を受賞しましたが、「ほにや」の目指す踊り子と観衆が一体となってお祭りを楽しむというコンセプトを見事に実現させ、美しい衣装と楽しい音楽で高知市民と観光客を幸せにして頂きました。
この「ほにや」を含む受賞チームと全国各地から参加するチームによって全国大会・後夜祭が実施されます。全国から参加するチームはまた雰囲気が違って面白いのですが、同時に各地のテーストが入ってきて興味深いです。例えば「吉備国祭衆“うらじゃ”」の皆さんは何故フェースペインティングしているのか、「伊予からの風 純信連」は何故“純信”なのか、とか。
ここでもちょっとだけチームをピックアップさせて頂きますが、「よさこいにっぽん佐渡」は踊り子の参加人数は少なかったですがインパクトは強烈でした。某振付師さんも良かった。魂から魂に訴える踊りです。「夢舞隊」は個人的に音楽が好きです。「だんじりじゃ〜」というフレーズが特に良い。「鳥取県よさこい踊り子隊」は高知でもおなじみで、全国大会・後夜祭の常連チームです。全国枠でなく本祭受賞資格で出場というのもすごい。県外出身チームのよさこい大賞受賞というよさこい祭りの歴史を塗り替えるような事もひょっとすると有り得るかもしれません。
中央公園会場ではこの後「ほにや」の武政英策賞受賞のアナウンスがあり、皆さんで鳴子の打ち納めをしてまた来年の再会を約束しました。今年は豪雨に見舞われたり取材規制があったり、いろいろありましたが、逆によさこい祭りは益々面白くなっていきます。来年の50回目の開催が今から楽しみです。
なお、この場をお借りして私どもの取材にご協力頂いたよさこい祭振興会、競演場関係の皆様、チーム関係の皆様にお礼を申し上げます。
鳴子の打ち納め(中央公園にて)
8月 9日 (金) | 18:30〜22:00 | 前夜祭/中央公園 |
8月10日(土) | 12:30〜21:30 | 本 番/市内各競演場 |
8月11日(日) | 12:30〜21:30 | 本 番/市内各競演場 |
8月12日(月) | 16:30〜22:00 | 後夜祭/中央公園 全国大会/中央公園、追手筋、帯屋町 |
追手筋 (おうてすじ) | 中央公園 (ちゅうおうこうえん) | 愛宕 (あたご) | 知寄町 (ちよりちょう) | 菜園場 (さえんば) |
梅ノ辻 (うめのつじ) | 升形 (ますがた) | 上町 (かみまち) | 万々 (まま) | |
旭町 (あさひまち) | 帯屋町筋 (おびやまちすじ) | はりまや橋 | 京町 (きょうまち) | 柳町 (やなぎまち) |
秦 (はた) |