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第50回よさこい祭り

さこい祭りは屋外の祭りですから天候に左右されるのはやむを得ません。毎年8月10日と11日に開催されるようになった経緯も過去の天候の統計から雨の少ない日、という事で選ばれたようです。しかし、ここのところ天候には恵まれていませんでした。今年は8月8日に高知入りする予定で日程を組んでいたのですが、8日に台風10号が高知を直撃し、予約していた飛行機は欠航、JR線も止まるという事態になってしまいました。結局翌9日に高知入りしました。

その影響もあって、今年は9日の前夜祭の取材ができなくなってしまいました。また、今年50回目という事で電車通り(高知城前〜中の橋通り)で演舞があったのですが、こちらも取材できませんでした。私にとっては波乱の第50回よさこい祭りの始まりでした。

前夜祭出場チーム
前夜祭受賞チーム

知市の商工会が景気対策として1954(昭和29)年に第1回目を開催して以来、半世紀もの長きにわたって開催されてきたよさこい祭りも今や色々なバリエーションのある楽しいお祭りに成長しました。しかも、その最初からこういうバリエーションを見越してスタートしていたという事実に驚きます。よさこい祭りというスタイルが全国各地に受け入れられたのもそのコンセプトが人々に受け入れられたからに他なりません。私はこの原点である高知のよさこい祭りを見ずして「よさこい」を語る事はできないと信じています。

て、私の取材の第一日め8月10日は追手筋本部競演場に行きました。第50回目という事で参加チームが非常に多く、13:30の開始です。こんなに早く始まるよさこい祭りは私も始めてです。(ただし、チームによっては10:00頃から帯屋町で演舞を始めますので祭りはとっくに始まっています・・・)

また、例年ですと夜の部もそのまま追手筋本部競演場で取材を続けるのですが、今年は前夜祭と後夜祭の取材で中央公園に入れないので、中央公園に移動しました。中央公園はある意味よさこい祭りの基本である「前進しながら踊る」というスタイルをやぶるステージ形式になっています。前夜祭の審査はこの中央公園で行われますのでステージ形式に長けたチームが有利になります。また、全国に広まっているよさこい祭りをモチーフとする祭りやイベントもこのステージ形式に大きな影響を受けています(むしろ基本である「前進踊り」が少数派かも知れません)。 そういう意味 でもここの取材は欠かせないのです。

50回という節目を迎えてどのチームも例年以上に力が入っていました。どちらかというと付き合い的に(失礼)参加してきた企業チームも見違えるようです。新しいチーム、特に「RA2D」は新人賞を取るだけの実力を発揮。ここ数年“癒し系”路線だった「高知大丸よさこい隊」は振り付けも音楽も一新して祭りに臨みました。相変わらず楽しい「京町・新京橋“ゑびすしばてん連”」は『大当たり!』がキャッチです。踊らにゃそんそんの「ほにや」も観客を魅了し続けていました。また、「旭食品」が帰ってきました。堂々の金賞受賞。盛り沢山でフィルムがどんどん減っていきます。


11日も同じパターンで取材しました。昨年は雨に泣かされたよさこい祭りでしたが、今年は8日に上陸した台風の影響も少なく、祭り本番は良い天候に恵まれました。南国高知の熱い太陽がじりじりと照りつけています。高知の人間にとってはこれこそが高知の夏です(おかげで思いっきり日焼けしてしまいました)。2日めもより元気に各チームが踊っています。多くのチームにとってはこの日がよさこい祭りの最終日です。 よさこい祭りには50回連続出場というすごいチームもありますし、また一方で毎年新しいチームが参加します。老舗のチームは「お馴染みのスタイルなのだろうか、何か変えて来るのだろうか」という楽しみがありますし、初出場のチームの初々しさ・あっと驚く演出も楽しみです。

今年の初出場チームの中で特に印象に残ったのが「高知商業高等学校よさこい祭り踊り子隊」「RA2D」そして「武州よさこい上總組」です。高知商業は地元では“市商”と呼ばれてまして(高知市立の商業高校だから)野球が強いイメージがあります。昨年の土佐女子高校に続いて高校のチームの参加です。そう言えば、学校(小中高)単位での参加って以外に少ないんですね。伊野商(「 高知県立伊野商業高等学校」;高知市の西隣に位置する伊野町にある。土佐和紙で有名な町。“県商”とも呼ばれる。ご想像の通り“市商”が市立に対して県立だから)がその先鞭だったかもしれません。
「RA2D」は新人賞を受賞するだけの実力派チームです。「アートウェーブ」のグループですが、ここのプロデュースは素晴らしいですね。他に「ドロワーズ」も受賞しています。「武州よさこい上總組」は県外チームですが、以外と古い歴史があります。またチーム関係者を辿っていくと高知にたどり着くという経歴も。そのせいか高知のよさこい祭りをうまく受け継いでいるチームだと思います。

念すべき節目の年という事で私も気合い十分に取材に臨みました。また当然の事ながら出場チームが増えて追手筋での競演時間が長くなって、取材の時間も必然的に長くなります。ほんの4〜5年前まではよさこい祭りで高知に帰っても他の用事(郊外に出かけるとか、星空を眺めるとか・・・)をする時間があったのですが、最近はよさこいオンリーになっています。これは喜ばしい事なのでしょうけど・・・。全国的にもこれだけ広まって、いまや世界に紹介されるよさこい祭りの原点がここ高知にあり、その祭りをそれなりに見つめてこられた事を改めてうれしく思っています。

受賞チーム


終日の12日は全国大会・後夜祭が開催されました。いつもは中央公園で取材するのですが、今年は追手筋本部競演場に陣取りました。よさこいの基本である前進型のパフォーマンスを県外のチームがどのように披露するか、楽しみでもあります。また、50回を記念して高知城公園追手門にも高知城会場が開設されていました。何でも46年ぶりの復活だそうです。県外勢の参加枠の拡大もあって開始時刻も14:00過ぎからと例年より早くなっています。ここでちょっと驚いたのは出場チームの出番スケジュールが決まっている事。ご承知のように高知のよさこい祭りでは各競演場・演舞場にチームが自由にエントリーして踊りを踊り、次の会場に進む、という形式を取っているためタイムスケジュールが決まっていません。いつもは中央公園で取材していましたので12日の運営方法が違っている事に気付きませんでした。

ームにとってよさこい祭りで賞を受賞するという事は大変な名誉です。もちろん賞のために踊っているわけではないのですが、祭りに臨むまでのコンセプトづくりから練習、本番を迎えてそのチームが客観的に評価される事はやっぱりうれしいものです。ただ、賞の数には限りがあります。どのチームも力を入れてきただけあって逆に「まさかあのチームが落選」という事もあります。私も個人的に意外に思った事もありました。しかし「じゃぁどのチームを外す?」と聞かれると答えに窮します。それだけどのチームもがんばりました。賞を取れなかったどのチームの皆様にも「お疲れ様でした」と申し上げたい気持ちです。


さこい祭りの原点として高知では50回を迎えることができました。これから100年、200年と続いていくと信じています。それは、50年前よさこい祭りを発案して始めた小さな芽が今や全世界に広がろうとしており、普通の人が自分の想いや感情を表現する場、自由な気風というコンセプト(それは既成概念にとらわれない発想をした坂本竜馬、自由民権運動に携わった板垣退助らを輩出した高知の土地柄と無関係では無いと思います)などが世界共通のものとして認識される可能性を示していると思います。日本はいま景気が悪く、世界でも悪いニュースが絶えない中で、大げさに言えば「よさこい」の文化が世界の平和と福祉に貢献する可能性も皆無ではないと思うのです。
私がよさこい祭りを見始めてから25年、よさこい祭りの歴史の半分ですが、これからも目が離せません。

後夜祭出場チーム
後夜祭受賞チーム


総踊り(高知城公園にて)


(参考:「あったとさ」夏号2003VOL.11)

第50回よさこい祭り日程

8月 9日 (土)18:30〜22:00前夜祭/中央公園
記念パレード/電車通り、帯屋町
8月10日(日)12:30〜21:30祭本番/市内各競演場
8月11日(月)12:30〜21:30祭本番/市内各競演場
8月12日(火)14:00〜22:00後夜祭/中央公園
全国大会/中央公園、追手筋、帯屋町、高知城

競演場・演舞場

名称 最寄り停留所/駅 備考
追手筋(おうてすじ) 大橋通り
中央公園(ちゅうおうこうえん) 堀詰
愛宕(あたご)
知寄町(ちよりちょう) 知寄町二丁目 サニービル
菜園場(さえんば) 菜園場
梅ノ辻(うめのつじ) 梅ノ辻
升形(ますがた) 升形
上町(かみまち) 上町四丁目
万々(まま) JR四国・円光寺口
旭町(あさひまち) 旭町三丁目 高知サティ
帯屋町筋(おびやまちすじ) 大橋通り/堀詰
はりまや橋 はりまや橋
京町(きょうまち) はりまや橋
秦(はた) イオン高知ショッピングセンター
柳町(やなぎまち) 堀詰

※停留所は土佐電気鉄道。記載が無い競演場・演舞場はバスまたはタクシーをご利用下さい。


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